肝臓の免疫機能

肝臓の免疫機能

肝臓は、外から入ってきた異物に対して、対抗するため免疫力を持っています。
体内のほとんどの免疫細胞がいるといっても過言ではありません。

 

クッパー細胞
体内に入ってきた、細菌やウイルスを食べる
クッパー細胞(Kupffer cells)は、肝臓内に存在する特別な免疫細胞であり、肝臓の重要な機能を支える役割を果たします。以下は、クッパー細胞に関する主要な情報です:

 

位置と形状: クッパー細胞は肝臓の組織内に存在し、肝内静脈(肝臓を供給する血管)の壁に取り付いています。形状は、星状細胞(stellate cells)とも呼ばれ、その名前の通り星のような形状をしています。

 

機能: クッパー細胞は主に肝臓内の免疫システムを管理し、異物や細菌の排除、免疫応答の調整を担当します。また、赤血球や古い血小板などの老廃物の除去も行います。さらに、炎症反応の調節にも関与します。

 

免疫応答: クッパー細胞は肝臓内に侵入した微生物や異物に対して免疫応答を開始し、炎症反応を誘導します。これにより、肝臓は感染や外部脅威に対して防御機能を発揮します。

 

血液濾過: クッパー細胞は肝内静脈から流れ込む血液を濾過し、異物や細胞の老廃物を除去します。これにより、血液中の有害物質を排除し、体内の浄化を助けます。

 

肝臓疾患との関連: クッパー細胞は肝臓の健康に重要な役割を果たすため、肝臓疾患や肝臓における炎症の状態に関連しています。クッパー細胞の過剰な活性化は肝臓病変を引き起こす原因の一つとなることがあります。

 

クッパー細胞は、肝臓の免疫機能と体内の浄化プロセスに不可欠な細胞であり、肝臓の健康維持に寄与しています。肝臓の疾患や炎症に関連した状況では、クッパー細胞の役割が特に重要です。

 

 

マクロファージ
悪いものをいっぱい食べます
マクロファージの働き

 

マクロファージは免疫系の一部であり、体内の異物や病原体を認識し、排除する重要な免疫細胞です。マクロファージの主な働きには以下のようなものがあります:

 

ファゴサイトーシス: マクロファージはファゴサイトーシスと呼ばれるプロセスを行い、体内に侵入した異物や細菌、ウイルス、細胞の老廃物などを摂取し、分解・消化します。このプロセスにより、体内の感染症や炎症を制御し、細胞の清掃を行います。

 

抗原提示: マクロファージは摂取した異物や病原体の断片(抗原)を自身の細胞表面に表示し、T細胞やB細胞などの他の免疫細胞に対して、免疫応答を開始するようシグナルを送ります。この抗原提示機能は、免疫系の調整に不可欠です。

 

サイトカイン産生: マクロファージはサイトカインと呼ばれる免疫調節物質を分泌します。これにより、炎症の誘導、他の免疫細胞の活性化、細胞間のコミュニケーションを支配し、免疫応答を調節します。

 

組織修復: マクロファージは組織修復にも関与します。古い、損傷を受けた組織や細胞のクリアランスを行い、新しい組織の形成を支援します。また、炎症の後で組織を修復し、回復を促進します。

 

免疫応答の調節: マクロファージは免疫応答の調節に重要な役割を果たします。過剰な免疫応答を抑制し、自己免疫疾患や慢性炎症を防ぐためにも活動します。

 

マクロファージは体内の免疫系の中で非常に多機能な細胞であり、異物や病原体から体を守る役割を果たします。また、炎症や組織修復、免疫応答の調節など、さまざまな生理的プロセスにも関与します。

 

 

ピット細胞
ウイルスに感染した細胞や、がん細胞を攻撃
ピット細胞の働き

 

ピット細胞(Pit cells)は、肝臓に存在する免疫細胞の一種であり、特に血液中の異物やウイルスに対する防御機能を持つ細胞です。以下は、ピット細胞の主な働きについてです:

 

血液中の異物の認識: ピット細胞は、肝臓内に存在する肝臓小葉の血管構造であるシノシュノイダルシュペース内に位置しています。ここでは、血液が肝臓に入る前に通過する場所です。ピット細胞は、血流中に存在する異物、細胞の老廃物、ウイルス、細菌などを認識し、捕捉します。

 

ファゴサイトーシス: ピット細胞はファゴサイトーシスと呼ばれるプロセスを通じて異物を摂取し、細胞内に取り込みます。これにより、体内に侵入した異物やウイルスに対する防御機能を果たします。摂取された異物は、消化されるか、他の免疫細胞によって排除されます。

 

免疫応答の調節: ピット細胞は免疫応答を調節する役割も担います。特に肝臓に侵入したウイルスに対して免疫応答を調節し、炎症を抑制することがあります。これは、免疫応答が過剰に活性化することを防ぎ、肝臓の機能を保護するために重要です。

 

免疫細胞との連携: ピット細胞は他の肝臓内の免疫細胞とも連携し、体内の免疫応答を調整します。肝臓は免疫系の中でも重要な役割を果たすため、ピット細胞はその調節に寄与します。

 

ピット細胞は、特に肝臓において血液中の異物やウイルスに対する初期の防御機能を担当する免疫細胞です。これにより、体内の感染症や免疫応答を制御し、肝臓の健康を維持します。

 

ナチュラルキラー細胞
体内でNK活性
ナチュラルキラー細胞の働き

 

ナチュラルキラー細胞(Natural Killer cells、NK細胞)は、免疫系の一部であり、体内の異常な細胞(がん細胞やウイルス感染細胞)を認識し、排除する役割を果たす重要な免疫細胞です。以下は、NK細胞の主な働きについての詳細です:

 

異常な細胞の識別: NK細胞は、体内の健康な細胞と異常な細胞を区別する能力を持っています。異常な細胞は通常、細胞表面に特定のマーカー(たとえば、がん細胞の場合、腫瘍関連抗原)を露出させることがあります。NK細胞はこれらのマーカーを識別し、異常な細胞を特定します。

 

細胞傷害: NK細胞は、異常な細胞を直接攻撃し、破壊する能力を持っています。これを行うために、NK細胞は異常な細胞に接着し、その表面に存在する毒性物質(パーフォリンとグランザイムといった物質)を放出します。これらの毒性物質は、異常な細胞の細胞膜を破壊し、細胞死を誘導します。

 

サイトカインの放出: NK細胞は、サイトカインと呼ばれる免疫調節物質を放出します。これらのサイトカインは、他の免疫細胞の活性化や免疫応答の調整に寄与します。また、NK細胞がサイトカインを放出することにより、免疫応答を調整し、がんやウイルス感染に対する免疫活性を高めます。

 

免疫サーベイランス: NK細胞は、体内の異常な細胞を定期的に監視し、異常な増殖や変異細胞の早期発見と排除に寄与します。この免疫サーベイランスにより、がんや感染症の発展を制御するのに役立ちます。

 

NK細胞は、免疫応答における重要な要素であり、がん治療や免疫療法の一部として活用されることがあります。また、自然免疫応答においても重要な役割を果たし、体内の健康を維持するために不可欠な免疫細胞です。

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